治療関係

呼吸に対してセラピストができること

呼吸療法認定士をとったけど、、、

私は呼吸療法認定士という資格を持っていますが、この資格は呼吸の生理学や人工呼吸器の使用方法が主な内容で、リハビリテーションの内容は薄いのが現状の為、「呼吸リハビリテーション」に関してはこの資格では不十分だと考えています。
実際、病院や在宅の現場で呼吸器疾患の方に対しては看護師の方が上手です。

呼吸リハビリテーションといえば、排痰呼吸介助がメインに考えられております。一般的に排痰に関しては姿勢変換や徒手的な手法で行いますが、吸引ができないとあまり意味がありません。
よって吸引ができるリハビリ職種であれば排痰が有用だと言えます。
呼吸介助に関しては、胸郭や腹部を徒手的に呼吸に合わせて動かすような手技が一般的ですが、これはその場では良いですが、結局その場しのぎ感は否めません。

私は身体の動きや健康に関して、「呼吸」がとても重要だと位置づけています。
しかし、人工呼吸器の管理や排痰の分野ではなく、リハビリ職種に求められている呼吸リハビリテーションは他にあると考えています。
それは、呼吸を物理的・化学的捉え、運動・解剖的には胸郭の運動と捉えることで理学療法士の強みが活かせると考えています。


なぜ呼吸が重要なのか?

人は1日飲まず食わずしても死ぬことはないです。また、1日睡眠をとらなくても死ぬことはないです。

しかし、5~10分呼吸が停止しただけで人は死にます。1分間で15回呼吸をしたとすると、1日で21600回呼吸をしていることになります。
歩行もせいぜい1日8000歩くらいですし、恐らく咀嚼回数も1日2000回くらいでしょう(推測)。1日通してこれだけ関節を繰り返す運動ってないと思います。
呼吸を運動として考えると、適切な運動を繰り返すのと、不適切な運動を繰り返すのでは、どちらが身体によいかは明確ですね。


また、呼吸の役割は酸素を体内に取り入れて二酸化炭素を出すことにあります。
細胞は約60兆個あると言われていますが、ほとんどの細胞にミトコンドリアがあり、そこで酸素を使いATP(エネルギー)を生成します。

つまりヒトが生きるためには酸素は必要なんです。酸素は血液中の赤血球のヘモグロビンにくっついて血管内を流れ、各細胞に運ばれていきます。
内臓細胞が酸素不足になると、体内の解毒機能をつかさどっている肝臓が機能しなくなり死に至るケースや、腎臓が機能しなくなり死に至るケースなどなど考えられます。
つまり、呼吸は人の「生命」に直結するものだということが分かると思います。

私の運動に関する記事を見て頂くと分かると思いますが、「支える下肢機能と、柔軟な上半身」が理想的な身体の構造だと考えていますので、呼吸に関わる胸郭(上半身)は柔軟性が必要と捉えています。
つまり、歩行やスポーツにとっても呼吸は大事だと考えています。


酸素不足になるとどうなる?

体内で酸素が不足すると、脳への酸素量が低下し、覚醒低下認知機能低下が起こることがあります。
脳は、酸素摂取量の約20%を消費すると言われているため、酸素不足は脳へ影響を及ぼします。
また、運動中であれば乳酸の分解に酸素が必要になる為、乳酸を分解できず疲れやすいという症状も現れます。
さらにATP不足になる為、全身の筋機能や内臓機能の低下も起こるでしょう。


簡単な呼吸の生理学・解剖学・物理学の復習

生理学

ヒトは肺と腎臓で酸性とアルカリ性のバランス(pH)をコントロールしています。
呼吸に関して言えば、化学受容器機械受容器でコントロールされています。
化学受容器は、酸素と二酸化炭素の量、主に二酸化炭素量を感知してコントロールしています。二酸化炭素が体内にたまると、「体内に出すために、空気を吸って」と命令がでます。
化学受容器は延髄、頸動脈小体、大動脈小体で感知機械受容器は上気道、肺、胸壁で感知します。また、胸郭に存在する肋間筋では筋紡錘が豊富のため、伸張すると収縮する反射が起こりやすいです。

解剖学

ご存知の通り、胸郭が広がる時に胸郭内は陰圧になります。吸気で胸郭が拡張し、呼気で胸郭が元に戻ります。
吸気筋横隔膜、外肋間筋が主で補助的に斜角筋、僧帽筋、胸鎖乳突筋が働きます。

横隔膜は、安静時は2㎝移動、深呼吸は6~13㎝移動すると言われています。
呼気筋は、筋肉の活動は少ないですが、強制呼気では腹筋、腹斜筋、腹横筋が働きます。
自律神経では、吸気では交感神経呼気では副交感神経が働くと言われています。通常では、吸気:呼気=2:3 が正常と言われています。
リラックスしたいときには、吐くことに重点を置いた方が良いということですね。

物理学

吸気時、胸郭が拡張しますが、この時下部胸郭は前後だけでなく横にも拡張します。
これは、横隔膜が収縮しただけでは起こらず、腹圧がかかることで横に広がるとされています。つまり腹圧が高まらない人は下部胸郭の広がりが悪くなると言えます。
また、鼻呼吸を行った方が口呼吸を行うより胸郭が拡張しやすいという事実があります。これは、
ボイル・シャルルの法則
というのがあり、暖かい空気が入ると拡張しやすくなるという物理法則に基づいています。


鼻呼吸が良い!

・暖かい空気が入る→胸郭の広がりが良い→換気が効率的
・口が乾かない・舌の上顎設置促せる→歯並びが良くなる・風邪をひきにくい
・副鼻腔を刺激し、一酸化窒素が生成→血管拡張する
・呼吸数を減らせる→呼吸過多防止→pHが酸性に偏りにくい→疲れにくい
・集中力を高める
・不安を和らげる

こんなに良いことがあります!他にもあるかもしれませんが、思いつくものを書いてみました。

鼻呼吸は副交感神経優位になると言われていますが、これは副鼻腔を刺激し一酸化窒素が生成し血管が拡張する作用が影響しているかもしれません。逆に、口呼吸は交感神経優になり、様々な弊害がたくさんあるとも言えます。※交感神経が悪、という訳ではありませんので誤解の内容にお願いします。

鼻呼吸に関する雑学ですが、右の鼻で呼吸をすると副交感神経優位となり、左の鼻で呼吸をすると交感神経優位になるというものがあります。個人的には、疲れている時は身体の反応で左の鼻が詰まりやすい印象があります。身体からのサインともとれます。信じるか信じないかはあなた次第です(^^;)

参考ブログ(https://ameblo.jp/kajikaji2012/entry-12360526398.html)
参考ブログ(https://ameblo.jp/kajikaji2012/entry-12361294103.html)


姿勢と呼吸

呼吸時に胸郭が前後左右方向に広がるのが理想です!胸郭の広がりが阻害される姿勢はたくさんありますが、いくつか評価方法をご紹介します。

・首を屈曲(下を向く)して呼吸しやすい→普段胸郭の後方が広がりにくい。
・首を右に倒して呼吸しやすい→普段胸郭の左側が広がりにくい。
・首、身体を右に捻じって呼吸しやすい→普段胸郭が右に捻じれていて広がりにくい。

を参考にしています。

また、呼吸している時の胸骨の動きを見ると良いです!

・吸気時に胸骨前傾→上位肋骨前方回旋優位・下位肋骨は後方回旋優位
・吸気時に胸骨後傾→上位肋骨後方回旋優位・下位肋骨は前方回旋優位

も姿勢の参考になります。

参考ブログ(https://ameblo.jp/kajikaji2012/theme4-10073547820.html)
参考ブログ(https://ameblo.jp/kajikaji2012/entry-12362426778.html)


胸郭へのアプローチ

胸郭が硬くなる原因として、上記で姿勢を挙げたのでそれに付随しますが、

●呼吸補助筋の過緊張
●インナーユニット機能低下
●交感神経過活動

が主な原因だと思っています(私見)。

これらに対するアプローチとしては、

●呼吸補助筋の過緊張 → 緊張の高い筋肉を緩める
●インナーユニット機能低下 → インナーユニットを賦活する
●交感神経過活動 → 副交感神経優位にする

となります。筋肉を緩める方法とインなユニットを賦活化させる具体的な方法割愛しますが、副交感神経優位にする為には、

●眼球を利用(動眼神経)
●鼻呼吸
●頸部を温める・筋緊張を整える

が良いと個人的には思っています。副交感神経優位にする為には、それに加えて、睡眠、食事、服薬などの生活習慣には気を付ける必要があります。

参考ブログ(https://ameblo.jp/kajikaji2012/theme3-10073547820.html)


パルスオキシメーター

最後に医療従事者や呼吸器疾患患者の自己管理の為に使用されるパルスオキシメーターについて書きたいと思います。

赤血球のヘムグロビンとくっついている酸素のパーセンテージを測定しています。原理としては、酸素とくっついているヘモグロビンと酸素とくっついていないヘモグロビンを、光を吸収する度合いで判断しています。正常は95-99%です。

一酸化中毒というのがありますが、これはパルスオキシメーターでは正常値が出てしまいます。なぜならば、一酸化炭素が酸素よりヘモグロビンとくっつきやすい為です。正常値が出ていても実際は酸素が体内を回っていない状態の為、死に至ってしまいます。

使用時の中止点としては、指先の冷え、体動、マニキュアなどで光がうまく透過されずに正しく測定されないことがあります。

購入価格としては1000円代~3万円台まで幅広いため、何がいいとは言えませんが、用途に合わせて購入しましょう。

参考サイト:https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=139


ここまで呼吸リハビリテーションの中での理学療法士としての役割の私見を書かせて頂きましたが、呼吸器疾患(COPD、喘息など)に対しては医師、看護師、介護士、臨床工学技士、薬剤師などと連携していくのが理想です。

理学療法士のみでなんとかしてやろう、と思わない方が良いです。それは呼吸器疾患に限りませんが、チームプレーが大事ですが、チームのメンバーの専門性は大事だと思っているので、理学療法士としての専門性を活かすことが良いと考えています!





【参考本】
・人生が変わる最高の呼吸法 パトリック・マキューン著



・柿崎藤泰先生 セミナー資料

・シンプル生理学 南江堂
・呼吸力学 井口整体
・深呼吸のまほう 森田愛子著
・気の呼吸法 藤平光一 著
・1日5分 横隔膜呼吸で「やせ体質」になる

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