治療関係

痛みの治療に有効な「仙腸関節」の診方



仙腸関節とは

仙腸関節は、骨盤の腸骨と仙骨の関節のことで、関節の形は平面関節と言われており、関節面が他の関節とは変わっています。
Cohen(1)は、仙腸関節は脊柱と下肢を連結する唯一の関節であり,脊柱と下肢に効率よく荷重を伝達するための重要な役割を担っている、と述べています。

よって昔から 仙腸関節が動く?動かない?という議論が交わされていますが、大きな動きはないが遊び程度の動きはある、という解釈が一般的でしょう。
年齢や個別性によって動く範囲は異なると思いますが、関節である以上、動かないというのは関節の役割を果たしていないように思われます。
Lindseyら(2)が、仙腸関節が動かないと隣接である腰椎の動きが増えると報告しているように腰痛の原因として仙腸関節の動きが乏しいことも推測されます。

建内は、仙骨は腰椎5番とのカップリングモーションは強固だと述べています(3)。
つまり、仙腸関節の動きは腰椎を経由し脊柱に伝わり胸椎や頸椎まで派生する可能性が考えられます。
よく仙腸関節にアプローチして頸部の動きや肩の動きを変える、とか聞いたことありませんか?
実際に仙腸関節にアプローチすると全身への影響が期待できます

 

仙腸関節の運動について

仙腸関節の関節面は下図のようにL字になっています。

下図は横(矢状面)から見ていますが、仙骨が腸骨に対して相対的に前傾する動きをニューテーションといいます。

同じく下の図は横から見ていますが、仙骨が腸骨に対して相対的に後傾する動きをカウンターニューテーションといいます。

一般的には、ニューテーションが関節の安定に寄与すると言われています。

ニューテーション:仙骨前傾、腸骨広がり(外旋)、関節が締まり安定する。
・カウンターニューテーション:仙骨後傾、腸骨閉じて(内旋)、関節が緩み不安定になる

また、下図のような骨盤のねじれパターンがあります。
黄色:右の腸骨挙上・左の腸骨下制 
赤色:右の腸骨下制・左の腸骨挙上

カイロプラティックの世界では、
前方回旋・挙上を「AS」
後方回旋・下制を「PI」
と呼んだりします。

下の図でいえば、黄色の右の腸骨はRAS、赤の右の腸骨はRPI表現することもあります。参考までに。
※右=R,左=L


※骨盤を後方から見た図


仙腸関節の安定性に寄与するもの

■ 靭帯 
結論からいうとたくさんあります!

骨間・前・後仙腸靭帯
上恥骨靭帯
恥骨弓靭帯
仙結節靭帯
仙棘靭帯
前仙尾靭帯
前仙腸靭帯
深後仙尾靭帯

※ 書き漏れていたらすいません。。。
特に仙結節靭帯は、大腿二頭筋と大殿筋膜と連結している(5)と言われてる為、聞いたことがあるかもしれません。

■ 筋肉
仙腸関節の安定に寄与する筋肉としては、

①大殿筋
②多裂筋
③内腹斜筋、腹横筋    (6)

があると言われています。

※ 写真は大殿筋

大臀筋と多裂筋は仙腸関節をまたぐ筋肉の為イメージしやすいと思います。
※大殿筋と広背筋の話はこちら⇒
内腹斜筋、腹横筋仙腸関節に働くズレ(せん断力)に対して、腸骨を包むようにし仙腸関節がズレないように働きます


※赤線が内腹斜筋、腹横筋のイメージ

ちなみに重力により仙腸関節には下の写真のような力が働きます。

骨盤が捻じれていると、せん断力に左右差が生じます。
すると筋肉の緊張に左右差が生まれ、緊張の強い側に痛みや筋力低下などの症状が出る可能性があります。

上記の筋肉に何らかの理由で機能障害があると仙腸関節の安定性に問題が生まれるかもしれません。

 

まとめ
■ 仙腸関節は重力下で全身に影響する
■ 仙腸関節は重力によるズレが強くならないように靭帯と筋肉が働く
■ 仙腸関節の安定性に寄与する靭帯や筋肉の機能障害は仙腸関節のズレに影響する

 

<参考文献>
1)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16244008
2)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26767156
3)建内宏重著:姿勢と歩行

4)カパンディ


5)https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/1998.25.2/0/1998.25.2_554/_pdf/-char/ja4)カパンディ

6)鈴木俊明:体幹と骨盤



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