治療関係

SLR(Straight Leg Raising)テストは簡便で万能である



私が理学療法士として働き始めた頃、SLRテストを頻繁に行っている整形外科医がいました。
その医師は「1人にたくさん時間を割けないからSLRは便利だよ」と言っていました!
その頃の私はSLRの便利さが全然分かっていませんでしたが、繰り返しSLRを行うことで私もその便利さが分かってきました。
今回の記事はSLRについての文献的内容に私見を加えた内容を書いていきます!

<記事の要約>
・SLR-testは腰椎椎間板ヘルニアに対して感度が高い検査である。
・Passive SLRは重さ、エンドフィール、角度を診ると良い。
・Active SLRは様々な身体の特徴を診ることができる。
 SLRとは

SLRは Straight Leg Raisingの略語です。
下肢を伸展した状態で挙上するもので、SLR‐testというと腰部下肢痛の神経根症状の有無を確認する検査方法です。

 Passive SLR(他動でのSLR)

■ 重さを見る
仰向けで片足ずつ足首辺りを下から支えて重さを確認します。
重く感じる方は柔軟性が低下していることが多いです。
または、対側下肢への荷重が不十分と推測します。

■ エンドフィール(終末抵抗感)を見る
これは下肢を挙げていき抵抗感を感じます。抵抗感がじわじわあれば軟部組織で、ガツッと止まれば骨性が疑われます。
また、抵抗感の種類だけでなく、抵抗感の出始めの角度なども見ておくと良いです。

■ 角度を見る
・70度以下で坐骨神経に沿う腰~臀部~大腿後面~下腿への放散痛あった場合➡腰椎椎間板ヘルニアの疑いあり
・拳上側と反対側の下肢への放散痛があった場合➡腰椎椎間板ヘルニアの可能性が高い(
SLRtest 感度0.85)

▧ 感度と特異度
感度と特異度をご存知でしょうか?私は学生時代に習った記憶がないのですが、臨床ではとても重要な考え方です。以下にSLR-testの感度・特異度と用語の説明を致します。

・SLR-test:感度 0.85
・Cross SLR-test※:特異度 0.84  
 ※挙上側と反対側の腰下肢部への痛みを確認する検査  
  参考文献➔
・感度:陽性と言える割合。除外診断に有効。
・特異度:陰性と言える割合。確定診断に有効。

※感度の高い検査➔陰性➔除外診断
※特異度の高い検査➔陽性➔確定診断

つまり、SLRの感度は高い(SLR 感度0.85)検査の為、SLRで陰性の場合は椎間板ヘルニアでない可能性が高いと言えます。
逆にSLRで陽性だったとしても椎間板ヘルニアとは言い切れません。

また、腰部脊柱管狭窄症の鑑別を行う場合は感度92.7%、特異度84.7%と感度も特異度も高い検査がありますので、それを用いることが多いです。
その中で
SLR陽性だった場合は、脊柱管狭窄症の確率が下がるとされています。
参考文献➔

 Active SLR(自動でのSLR)

これは対象者に膝を伸ばした状態で自ら片足を挙げてもらう検査です。診るポイントは以下の通りです。

【診るポイント】 ※私見です
①下肢挙上時、肋骨下部触診し腹直筋の収縮がないか?
②股関節外旋位で挙上しているか?
③股関節内旋位で拳上しているか?
④骨盤が動いていないか?
⑤上肢の位置はどうなっているか?
⑥頸部の位置はどうなっているか?

下肢挙上時、肋骨下部触診し腹直筋の収縮がないか?

鳩尾辺りの腹直筋に軽く手を当てて下肢を拳上してもらい、収縮を感じたらインナーユニット(コア)の機能低下の疑いあり。

②③股関節外旋位で挙上しているか? 股関節内旋位で拳上しているか?


股関節外旋位で拳上➔外側の筋肉(中臀筋、外側ハムストリングスなど)の硬化の疑い
股関節内旋位での挙上➔内側の筋肉(内転筋、内側ハムストリングスなど)の硬化の疑い

④骨盤が動いていないか?

挙上時に挙上側に骨盤が回旋運動がおこる場合がありますが、これは腹斜筋などの腹部の筋肉の機能低下の疑いがあります。

⑤上肢の位置はどうなっているか?

上肢を外旋位にして挙上しやすい➔下肢~上半身の連鎖機構の破たんの疑い


上肢を内旋位にして挙上しやすい➔下肢~上半身の連鎖機構OK

⑥頸部の位置はどうなっているか?

・頚部を伸展➔挙上しやすくなれば背部筋筋緊張亢進あり
・頸部を屈曲➔挙上しにくくならなければ背部筋の問題は少ない

これらに挙げたものは私見を多く含みますので参考までに。

 まとめ

最後にSLRの制限因子筋肉のレベルでまとめてみます。

<SLR制限因子~硬化部位~>
・挙上側のハムストリングス
・挙上側の腓腹筋
・挙上側の脊柱起立筋
・挙上側の内転筋(股関節内側)
・挙上側の大腿筋膜張筋・中臀筋(股関節外側)
・非挙上側の腸腰筋
<SLR制限因子~弱化部位~>
・挙上側の大腿四頭筋
・挙上側の腸腰筋
・非挙上側のハムストリングス
・非挙上側の臀筋
・体幹筋(腹斜筋、インナーユニット)

いかがでしょうか?シンプルですが様々な情報が得られる検査の一つかと思います。臥位にする機会がある方は評価時に試してみてください。

SLRを身体の特徴をつかむ検査で使うのも良し、経過を診るうえでの検査で使うも良し、治療前後の評価で使うもの良し、自主トレで指導するも良しです。
SLRに限りませんが、パフォーマンステストをうまく活用することが大事だと思います。

<参考文献>
・森本忠嗣.Straight leg raising testの定義の文献的解釈.日本腰痛学会誌.2008
・Mindsガイドラインライブラリ https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0017/G0000309/0027
・紺野慎一.脊柱管狭窄症の診断サポートツール.日本腰痛会誌.2009



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