医療情報関係

パーキンソン病のリハビリテーション~パーキンソン病は全身病である!~



パーキンソン病は難病として知られている病気ですが、案外罹患している人が多いです。
10万人に対して150人くらいの罹患率と言われていますが、65歳以上では10万人に対して1000人くらいと言われています。
よって、医療・介護業界の方は関わることが多い疾患だと思います。

この記事ではパーキンソン病の特徴を文献的な内容に私見を加えて説明したいと思います。

【記事の要約】パーキンソン病は、
①片側から起こる症状の為、片麻痺のような姿勢がみられる。
②レビー小体病の一つで、レビー小体型認知症、多系統委縮症と原因が同じである。
③運動症状だけでなく様々な症状を合併することから全身を診る必要がある。
④転倒者が多い為、運動・薬だけでなく環境調整や福祉用具の利用が大事!

 パーキンソン病とは
黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である
4大症状として(1)安静時振戦、(2)筋強剛(筋固縮)、(3)無動・寡動、(4)姿勢反射障害を特徴とします。
※姿勢反射障害を抜いた3大症状とも言われています。

パーキンソン病の診断は、問診、検査により行われます。
近年、精度の高い検査の一つにMIBG心筋シンチグラフィーというものがあります。
パーキンソン病の診断に有用だと言われております(文献)。

【心筋シンチグラフィー】
心臓を支配している心臓交感神経の障害とその分布を見る核医学検査である。
【MIBG】
meta -iodobenzylguanidineの略。交感神経終末でノルアドレナリンと同様の摂取、貯蔵、放出が行われる物質。

病理学的にパーキンソン病の方の心臓の交感神経内には、レビー小体が存在すると言われており、この主成分はαシヌクレインというたんぱく質です。
このたんぱく質の蓄積による疾患は他にも、レビー小体型認知症多系統委縮症があります。
レビー小体が蓄積する病気をレビー小体病と言います。

つまり、パーキンソン病はレビー小体病の一つで、レビー小体型認知症と多系統委縮症と原因は似ているといえます。

▬ 症状
▧ 運動症状
初症状は振戦が多いと言われています。
また、動きの緩慢さが現れ、すくみ足などが現れる。運動時は、ダブルタスク(話しながら歩く等)が困難になります。
また、表情が乏しくなり仮面様顔貌と呼ばれたり、言葉が単調で小声になります。さらに字も小さくなります。

症状の出方は、N字型・逆N字型と呼ばれ、片側から現れます
右手、左手、右足、左足からの4パターンがあります。

 

片側から動きが悪くなる為、下の写真のように片側に傾斜している人が多いです。

よって、身体構造の左右差が著明になり、腰痛、膝痛などの二次障害が現れることが多いです。
脳卒中片麻痺の方も同じように非麻痺側に傾斜する姿勢をとる方が多いおられます。また、大腿骨頸部骨折などの方も健側に傾斜している方が多いと思いますが、それと同じような状態が見受けられます。

▧ その他
・睡眠行動異常、過眠
・嗅覚障害
・便秘、頻尿
・うつ:パーキンソン病の10~30%(文献

ちなみにレビー小体型認知症の症状も、同じように睡眠行動異常、嗅覚障害などがあります。
よって、これらの病気を間違えることもあるそうです。確定診断は病院で医師にしてもらいましょう!

上記のように運動症状に加えて、それ以外の症状も多々みられることから、パーキンソン病は全身を診る必要があるといえると思います。

▬ 転倒問題
対象者によって異なりますが、対象者80人以上の規模の研究では、60〜70%のパーキンソン病の方が転倒しているという報告が多いです。
私の経験でもパーキンソン病の方は転倒者が多いです。

<対策>
転倒対策に関しては、運動療法・薬物療法が大事なのは勿論ですが、それよりも環境調整福祉用具の利用が即効性があります!
①導線に手すりを這わす
注意:縦手すりは逆効果になることもある。
②油圧・減速ブレーキ式歩行器導入
注意:ただの車輪付き歩行器は突進強める可能性あり。

※介護保険適応のレンタルがあります。
③視覚刺激
方向転換を要する場所の床にテープを貼付したりします。
④ヘッドギアやヒップガードの利用
転倒した時の骨折や怪我のリスクを下げる目的で使用することもあります。

▬ パーキンソン病へのアプローチ

薬物療法
運動療法
環境調整、福祉用具の利用
生活習慣の見直し

これらを並行して行う事が大事だと考えます!

▧ 運動療法
パーキンソン病の運動療法では、「大きく動かす」ことが推奨されています!
姿勢は前かがみになりやすい為、伸展運動は大事ですね!また、上記のように片側に傾斜しやすいので、短縮側のストレッチも必要です。
パーキンソン病の方は、下のような姿勢が多い為、首(特にC0-C1)、胸郭・肩甲骨、股関節を動かすと良いと思います。

▧ 生活習慣の見直し
パーキンソン病患者は一般高齢者に比べて活動量が1/3程少なかったという報告(van Nimwegem M,2011)や、1日の歩数が少ないという報告(Cavanaugh JT,2012)がありますが、私の経験からもパーキンソン病患者の活動量は明らかに少ないです。
思うように動けない為、動きたくなくなる気持ちは分かりますが、身体機能低下を予防する為にはなるべく活動量が減らないような生活習慣が望ましいですね。

▬ まとめ
パーキンソン病=難病という認識がありますが、身体機能面に関してはセラピストが介入して改善するポイントはたくさんあります。セラピストであれば、症状や姿勢を見て、運動や環境調整や福祉用具の利用をアドバイスすることで動作の改善転倒リスク軽減二次障害予防に貢献できると思います。

・パーキンソン病は片側から起こる為、片麻痺や大腿骨頸部骨折のような姿勢になる。
・運動症状のみならず、様々な症状が現れる全身病である。
・パーキンソン病は転倒者が多いが、運動療法より環境調整や福祉用具の利用が大事!

少しでも参考になれば幸いです。

<参考文献>
・葛原茂樹.Parkinson病をめぐる最近の話題と治療の進歩.第 106 回日本内科学会講演会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/98/9/98_2131/_pdf
・難病センターHP
http://www.nanbyou.or.jp/entry/314
織茂 智之.
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/review_53_3_195.pdf

https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/048010011.pdf
Aarsland D et al.Neuropsychiatric symptoms in Parkinson‘s disease. 2009 Nov 15;24(15):2175-8
瀬高朝子.見逃したくないParkinson病の初期症候.日本内科学会雑誌第103巻第8号 2014
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/103/8/103_1854/_pdf
・千田圭二.パーキンソン病と転倒・転落.IRYO Vol.60 No.1(28-32)2006. 
https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/60/1/60_1_28/_pdf/-char/ja
van Nimwegen M.
Physical inactivity in Parkinson’s disease.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21614433
Cavanaugh JT.
Capturing ambulatory activity decline in Parkinson’s disease.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22592060



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