治療関係

タッチの科学~リハビリ・介護における触れることの意味と効果~


▮ はじめに
リハビリ、看護、介護の業界は対象者に触れることが多い職種です。
手当て」という言葉があるように、患部に
手を当てることで痛みの緩和が図れますし、それ以外にも気持ちが落ち着く親近感がわく、などの効果を経験したことがある人が多いと思います。

この記事では、タッチ(触れること)に関する科学的知見をまとめましので、よろしければ最後までご覧ください。
参考図書は記事の最後をご覧ください

【要約】
・タッチの主な効果は①副交感神経優位、②除痛、③オキシトシン放出であるが、心理的な効果もある。
・タッチの仕方によって効果が変わってくる。
・皮膚は人体最大の臓器で様々な役割がある。
・手は中指と人差し指が最も敏感である。

 タッチの効果
まずはタッチの効果に関してです。様々な書籍の知見をまとめると主なものは以下のようになります。

【効果】
・副交感神経を優位にする
・除痛(ゲートコントロール理論※1)
・オキシトシン放出(絆の構築)

※1 ゲートコントロール理論:Ronald Melzackが1965年に提唱した疼痛抑制に関する理論です。簡単に言うと、触覚を伝達する神経が痛みを伝達する神経より早く脳に届くため痛みが感じにくい、というものです。

次に副交感神経優位になる二次的な効果かもしれませんが、下記のような効果も様々な書籍に書かれています。

・認知症症状を和らげる
・マッサージにより表皮がNOを放出し血管を拡張させる
・ペットを飼育していると、心疾患になりにくく長生きする
・暖かいものを触るとやさしい気持ちになる※2

逆に触られないことにより、暴力行為、睡眠障害、免疫低下、成長停滞などが起こることがあるそうです。子育てにもタッチは重要とされていますね。

※2 タッチは心理面にも影響があると言われています。
身体性認知科学という分野があり、普段何気なく行っている選択が触覚により左右されている、と言われています(「触楽入門」より)。
例①)事前にホットコーヒーを渡した後に見せた写真の人物を暖かい人と判断する。
例②)やわらかい椅子に座ると態度がやわらかくなる。

例にも書きましたが、
・温度-人格の暖かさ
・硬さ-ヒトの態度
・重さ-人物の重要度
に関連すると言われています。

▮ タッチの種類
タッチにはいくつか種類がありますのでご紹介します。

アクティブタッチ:能動的に手で触ること。
ダイナミックタッチ:下写真のように物体を介して触ること。

イントラアクティブタッチ:自分で自分に触れること。
ちなみに自分をくすぐってもくすぐったくないのは、小脳で予測している為だそうです。

また、山口先生の書籍(手の治癒力)より、下記のように触る速度により効果が変わってくると書かれています。

・1秒に約5cmの速度➔リラックス効果あり
・1秒に20cmの速度➔交感神経優位となり覚醒度が高まる

▮ 皮膚について
我々が直接触ることができるのは皮膚です。よって皮膚についての知識もまとめておきます。

皮膚は身体の約18%、重量約4kg、面積約1万6720m2で、人体最大の臓器と言われています。発生学的には脳と同じ外廃用由来の器官です。
役割としては、水分喪失防止体温調整身体守る感覚器、が挙げられます(「皮膚に聴くからだとこころ」より)。
また、表皮のケラチノサイト細胞は万能で、NO放出コルチゾール合成ATP放出などの作用があると言われています。さらに、皮膚の調子が悪いと、内臓の調子が悪い、と推測することもできるそうです(「賢い皮膚」「皮膚感覚と人間のこころ」より)。

▮ 受容器について
以下に皮膚に存在する受容器についてまとめます。
触覚などの感覚、受容器を介して情報が脳に届きますので、受容器に関する知識は重要になります。

・名称(反応する感覚/多く存在する場所)
・メルケル触媒(圧覚/手指・皮膚のすぐ下)
・マイスナ―小体(振動や滑り/体毛のない部位(掌に多い))
・パチニ小体(細かい振動/関節、深部組織(手足に多い)、性器乳腺)
・ルフィニ終末(温覚、皮膚伸張/皮膚の深部)
・クラウゼ小体(触圧覚、冷覚/真皮、口腔、結膜)
・自由神経終末:痛み、痒み等/表皮、真皮、皮下組織)
※参考図書、文献により様々な説がある為、ここの記載は参考程度にしてください。
参考文献➔★(岩村、1984)

補足ですが筋膜には、ルフィニ小体、ゴルジ受容体、パチニ小体が存在すると言われています(「手と脳」より)。
※また、関節位置覚に関する記事はこちら➔

▮ 手について

最後に手について書きます。

山口先生の書籍(手の治癒力)によると、触覚受容器の密度は手が最も高いそうです。

久保田先生の書籍(手と脳)によると、からだの他の部位より指先が最も敏感な部位と述べられています。
手指の掌側では中指、人差し指、親指、薬指、小指の順で閾値が高くなる、と言われています。
つまり、中指と人差し指が最も敏感と言えます。
また、手には痛みの神経の数が多く、受容器はマイスナ―小体が多いと言われています。

▮ おわりに
最後までお読み頂きありがとうございます。
人に触れる仕事の人は、触れることに対しての知識はあった上で触れることをお勧めします。
触れることによって様々な効果がありますが、効果を狙って出すことができるのがプロだと思います。

触れるだけでズレた関節を調整する、触れるだけで筋肉の緊張を整える、触れるだけで動きを変える、などの効果を謳った流派がありますが、恐らく科学的にも説明ができると思います。

ぜひご参考ください!

<参考図書>

 

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