医療情報関係

肩が挙がらない!夜痛い!~五十肩(肩関節周囲炎)とは~

肩の痛み、肩が動かないなどの症状でお悩みの方をたくさん見ます。
今回は肩関節についての解剖学的知見、アプローチや理学評価の記事ではなく、五十肩(肩関節周囲炎)についての基礎的知識に関する記事となります。

[要約]
・肩関節周囲炎は部位や病理で分類できる。
・糖尿病などの内科疾患罹患者がなりやすく、デスクワーク者もなりやすい。
・夜間痛は肩甲骨下方回旋していることが多い。
・JOAスコア、Shoulder36が国内で作成された評価表である。
・肩関節周囲炎と腱板断裂と見分けましょう。

 肩関節周囲炎とは

肩の痛み、肩が挙がらないなどの症状は、一般的に五十肩、四十肩と呼ばれますが、医学用語としては肩関節周囲炎と呼ばれます。

ちなみに肩関節周囲炎は1872 年に仏の Duplay が報告したもので、1934 年に米の Codman の述べた凍結肩などと同じ、医学上の病態を指します参考文献)。
英語でfrozen shoulderAdhesive capsulitis凍結肩関節包炎を指しますが、肩関節周囲炎と同義語として使われることが多いです(参考文献)。

▧ 病変位置による分類
肩関節周囲炎は以下のような症状の総称だと信原は述べています。

1.烏口突起炎
2.上腕二頭筋長頭腱炎
3.肩峰下滑液包炎
4.腱板炎
5.臼蓋上腕靭帯障害
6.石灰化沈着性腱板炎
7.有痛性肩関節制動症
8.肩関節拘縮

上記の中で、腱板炎が41%で最も多く、次いで有痛性肩関節障害が25%、次いで上腕二頭筋腱炎12%が多かったと報告されています。

▧ 病理による分類

1.Suprahumeral gliding メカニズム(肩峰下滑液包の癒着)
2.Biceps メカニズム(上腕二頭筋長頭腱の癒着)

安達は肩関節周囲炎を上記のように大きく2つに分けており、上記のメカニズムの破綻が肩関節周囲炎になると述べています(参考文献)。

好発年齢
肩関節周囲炎は40~80歳代で80%を占めると言われています(参考文献)。特に50歳代に多いと言われています(参考サイト)。

リスク因子

・糖尿等、甲状腺疾患、高脂血症をお持ちの方
・運動不足
・デスクワーク

経過
疼痛、可動域制限が改善していくまでに12~42か月かかると言われています(参考文献)。

 症状
肩関節周囲炎の方は、肩関節周囲の温度が低いと言われています。
また、Levine WNらの報告によると非利き手に多く、両側罹患が20%と言われております(参考文献)。
症状は下記の2つがメインになります。

・運動時痛
・夜間痛

運動時痛は肩を動かすと痛いということです。烏口突起部や肩峰辺りに痛みが出ることが多いです。
夜間痛がある方は、肩甲骨が下方回旋しているのが特徴です(参考文献)。

炎症期では肩峰下滑液包や腱板周辺の炎症が、拘縮期では肩峰下滑液包と腱板との癒着や瘢痕組織が肩峰下圧を上昇させる因子となる為、肩峰下圧を下げる為に代償的にとっているポジションとなります。

これを回避する為に、肩関節を軽度屈曲位にするなどの肩峰下圧の上昇を抑えるポジショニングが良いとされています。

 評価
肩関節機能評価には様々なものがありますが、代表的なものを紹介します。

・Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand(以下,DASH)
・Shoulder Pain and Disability Index(以下,SPADI)
・JOAスコア
・shoulder36

この中で、JOAスコア(資料)、shoulder36(資料)は国内で作成されたものになります。

 腱板断裂との見分け方

[腱板断裂の特徴]
・右肩に多い
・拳上して軋轢音がある
・棘下筋の委縮がある
・拘縮の度合いが少ない
・痛み部位が棘上筋付着部に多い

逆に肩関節周囲炎と類似している点は、

・発症年齢が40代以上
・夜間痛あり
・運動時痛あり
参考文献

ちなみに腱板断裂は、50代で10.7%、60代で15.2%、70代で26.5%、80代で36.6%の方にみられるという報告がありますので、中年以降に肩の痛みや動きにくさがあった場合には腱板断裂も疑う必要があります。

肩関節周囲炎と腱板断裂の症状は似ている為、見分ける必要があります。
腱板断裂の場合は、むやみに動かしたり、過度にストレッチをしない方がよかったりします。

 おわり
以上、肩関節周囲炎の基礎的知識の記事となります。
少しでも参考になれば幸いです。

※結帯動作、結髪動作に関する記事はこちら➔
※五十肩に対するアプローチに関する記事はこちら➔

▮ 参考文献・サイト
・松本和久.日本における東洋医学に基づく五十肩の発生機序とその治療.日本東洋医学研究会誌 2007
・村木孝行.肩関節周囲炎 理学療法診療ガイドライン.理学療法学 2016:43(1);67-72
・日本整形外科学会ホームページ
・日本肩関節学会ホームページ



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