医療情報関係

腎臓リハビリテーションの基礎~どのように運動を進めればよい?~ 

慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)は現在(2019年)推定1330万人で、透析を受けている患者さんは約33万人(2016年)いると言われています。

診断は?
下の①、②のどちらか満たせばCKDと診断されます。

①糸球体濾過量(GFR)に関わらず、腎障害を示唆する所見(尿異常、形態異常、血液異常など)が3ヶ月以上存在
②GFR60ml/分/1.73m2未満が3か月以上持続

慢性腎臓病の合併症は?
慢性腎臓病になると以下のような病気・症状になりやすいと言われています。

●循環障害(心不全)
●生活習慣病リスク
●貧血
●筋力低下(サルコペニア、フレイル)
 ※特に下肢筋力低下が起こるとされています。

ちなみに慢性腎臓病罹患者の死亡原因感染心不全が多いと言われています。

なぜ骨格筋が減少する?
上記の症状で「筋力低下」とありますが、その原因として慢性腎臓病になると骨格筋が減少する為と言われています。骨格筋が減少する理由としては、

●炎症性サイトカイン↑
●タンパク質のアンバランス
●活動量低下
どが考えられます。

腎臓リハビリテーションとは
腎臓リハという言葉は、1994年にLORACにより初めてその概念が体系づけられました。
対象者は透析に至っていない慢性腎臓病の方から透析患者となります。
運動療法、食事療法、薬物療法、患者教育などを含む包括的リハビリテーションの一つです。

腎臓病患者は運動すべき?
これは色々な研究がありますが、運動しないと生命予後悪いという報告があります(Painter P,2005)。

また、腎臓病患者が運動をすると抑うつが減少すると言う報告もあります(Tentori F, et al.2010
よって、リスク管理を行いながら運動を行うことは良いということになります。
ちなみにリスク管理は心血管疾患におけるリハビリテーションガイドラインに示されているものを参考にすれば良いと言われています。

<腎臓リハビリテーションの考え方>
保存期
①透析移行を防止する
②心血管疾患予防
③サルコペニア、フレイル予防

透析患者
①ADL改善
②心血管疾患予防
③サルコペニア、フレイル予防

ただし、過負荷の運動は急性腎不全を起こす可能性がある為注意が必要です。

保存期の慢性臓病に対する運動療法
運動としては、有酸素3〜5回/週筋トレ2〜3回/週くらいが良いと言われています。
強度は中程度が良いと言われています。

透析患者に対する運動療法
一般的には透析は週3回通って行い、1回辺り4~6時間行われることが多いです。
透析患者は健常者の5〜7割の身体能力と言われています。よってADL能力が低下している人が多いので、まずはADL能力を評価し、それに対する介入を行っていき、日常生活での活動性の向上を図ります。

尚、透析中に運動を行う場合は最高血圧が30以上低下すると中止です。

リハビリはいつ関わる?> 
透析患者のリハビリは、実際は透析日の透析後の介入が多いが、疲労があるので理想としては透析前が良いと言われています(河野.2019)。
透析前は、うっ血や高血圧リスクあることを注意して介入することが必要です。

おわりに
私は在宅で勤務していますが、訪問リハビリや通所サービスを利用している透析患者さんもいます。また、透析に至っていなくても慢性腎臓病を罹患している方を多くみています。よって、在宅分野のセラピストも腎臓病に関する知識は必要になります。

腎臓病に対するアプローチは、医療、運動、食事、薬物、患者指導の包括的アプローチの為、チームで行うリハビリテーションモデルそのものだと思います。
実は、腎臓病に限らず脳卒中、難病、認知症、心不全など様々なリハビリ対象疾患も包括的アプローチなんですが、ついつい個のアプローチが強くなってしまう傾向にある為、これを機にチームアプローチの大切さを見なすと良いと思います。



 【参考文献】
腎臓リハビリテーションガイドライン
https://drive.google.com/file/d/1IhTzaX4GOEPDLQVlgXZ-o2fLCPfn1Vt-/view
・Painter P. Hemodial Int. 2005.
Physical functioning in end-stage renal disease patients: update 2005.(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/16191072/)
・Tentori F, et al. 2010.Physical exercise among participants in the Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study (DOPPS): correlates and associated outcomes.
(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/20392706/)
・河野健一.透析療法期における理学療法.理学療法学.2019
・上月正博.腎臓リハビリテーション入門

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です